第69回小学校中学年の部 最優秀作品

「それって、すてきだね!」
 島根県出雲市立大津小 3年 渉千尋

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 「ちひろちゃんって、かわってるよね。」

 わたしは、カエルや虫が好きで、さわったりかんさつしたりする時間が、とても楽しいです。でも、わたしがアマガエルを手の平にのせていると、

「よく、さわれるね。気持ちわるくないの。」

「女の子なのに、へんだね。」

と言われます。カエルが好きなのって、おかしいのかな。もしも、わたしが男の子だったなら、カエルが好きでもいいのかな。わたしは、自分の好きなことについて人に話すのが、だんだん苦しくなってきました。

 そんな時、この本を読んだわたしは、(ウェンディって、わたしににてる!)と思いました。ウェンディは、学校が終わると一人で山に行き、おもしろい形の石や花のつぼみやひっつきむし、あざやかなアオカケスのはねなど、自分がすてきと思った物は何でも持ち帰ってしまう女の子です。さすがに、動物の頭のほねまでかざってあるのには、びっくりしたけれど、わたしがすてきだと思う物をウェンディはいっぱいかざっていました。わたしはウェンディに、

「自分の好きなことに自信をもっていいんだよ。自分がワクワクドキドキすることに、正直に行動していいんだよ。」

と言ってもらったような気がして、すごくうれしくなりました。

 十二才の時、遠足に行ったウェンディは、サンゴのかけらを見つけました。すると、先生は、

「きみはいい目をしているね!」

と声をかけてくれました。その後も、だれもが見のがすような化石も、ウェンディだけは見つけることができました。わたしは、ウェンディの目は、ほかの人と何がちがうのだろうとふしぎに思いました。さい後までよんで気付いたのは、ウェンディが大人になっても、小さいころすてきな物をさがすワクワクした気持ちを、ずっと持ち続けていたということです。わたしの目には、アマガエルがとびきりすてきに見えます。真ん丸の黒いひとみはすごくかわいいし、ぷにぷにした白いおなかと黄緑色のせなかの色合わせは、とてもきれいです。こんなにきれいで、しかも生きているなんて、すごいなあと思います。わたしも、今の感動する心を持ち続けていたら、いつかウェンディみたいになれるのでしょうか。

 今、わたしの部屋の本だなには、小さな貝の化石がかざってあります。きょ年、福井県のきょうりゅうはく物館に行った時、発くつ体験で見つけた貝です。この本を読んでから、わたしとウェンディをつなぐ、大切なかけはしのように思えてきました。わたしは、やっぱり自分の好きなことを友だちに聞いてほしいです。自分の好きなことをごまかしたくありません。そして、友だちのいろんな好きにも、

「それって、すてきだね!」

と言ってあげられる人になりたいと思います。

 

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●読んだ本「化石のよぶ声がきこえる 天才恐竜ハンターウェンディ・スロボーダ」(くもん出版)
ヘレイン・ベッカー・作 サンドラ・デュメイ・絵 木村由莉・訳・監修

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