第68回小学校中学年の部 優秀作品

「プランクトンに出会って」
 松江市立城北小学校 3年 渡辺湊太

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 本当にこの中に生き物がいるの?

 理科室に水草だけが入っている水そうがあった。何かいるのかなとのぞきこんでいると、理科の先生が「その中にはプランクトンがいるんだよ。」と、教えてくれた。「プランクトン」って何。ぼくには、何も見えないけれど。本当にいるのかな。とてもふしぎに思った。

 図書館でこの本を見つけたとき、理科室のプランクトンのことを思い出した。もっとプランクトンのことを知りたいと思って、この本を読むことにした。

 この本の作者は、池の水をたった一てきとって、けんびきょうで見ていた。たった一てきなのに、その中にはたくさんのプランクトンがいた。動かないけれど、きれいな形ともようの緑色をしたプランクトン。このプランクトンは、木や草と同じように太陽の光でえいようを作って生きているそうだ。動くことのできるプランクトンもいた。丸い頭を動かして、スケートをしているようにすいすい泳ぐイタチムシ。えさをさそいこむために、こまかい毛がついた口を大きく開くツリガネムシ。カブトガニににた形をしているハオリ・ワムシ。短いしっぽをピョコピョコ曲げたり、ぐるりとまわったりする。ぼくは、びっくりした。プランクトンにもぼくと同じように一つ一つに名前があった。そして、いろいろな動きをしていた。ぼくもイタチムシみたいにすいすい泳ぐし、ごはんを食べるときは、ツリガネムシみたいに大きな口を開ける。本当にプランクトンは、生きているんだ。

 本を読んでいくうちに、ぼくも自分の目でこの小さな生き物、プランクトンを見てみたくなった。近くの池の水をくんで来て、けんびきょうで見てみた。本当にいるのかな、とドキドキしながらさがしていると、あっ、いた! 緑色の細長くて丸い形の生き物が一ぴきだけ見えた。これは、緑色のプランクトンのなか間かな。ほかにもいるかなと、もっとさがしてみた。いた! 今度は、周りに小さい毛のついたプランクトンがピューッと動いている。こんなに小さいのに、本当に動くんだ。プランクトンを見つけながら、ぼくは、今まで見たことのない生き物と出会うことにわくわくした。

 この本でプランクトンを知ってから、川や水たまり、田んぼを見ると、この中にはどんなプランクトンがいるのかな、見てみたいなと思うようになった。ぼくの目には見えないけれど、えさを食べたり、動いたり、自分でえいようを作ったりしながら生きている小さな生き物たちがいる。見えないけれど、本当に生きている。小さなプランクトンに出会って、なんだかぼくのせかいは広がった。ぼくの目に見えるものだけがこのせかいにあるものではなくて、ぼくの目に見えないものもこのせかいにはある。それをぼくに教えてくれた小さな生き物、プランクトンに、これからもたくさん、たくさん出会っていきたい。

 

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●読んだ本「小さなプランクトンの大きな世界」(福音館書店)
 小田部家邦・文 高岸昇・絵

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