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『年に数回入院』という言葉を目にして、読まずにはいられなかった。私は筋肉が壊されていく病気だ。五歳の時に私の生活は一変した。年に数回の入院、九種類の苦い薬、運動制限、しかも中国地方で初の症例のため、手探りの治療だ。みんなと同じように学校に通ってはいるが、みんなとの間にはいくつものかべがある。この本の海音ちゃんは、神経の病気で年に数回入院、辛い治療をしている。一言一言が身に染みた。
入院生活はカプセルみたいな空間で、時間の流れが普段とは全然違う。私が入院する病院も親が必ず付き添いだ。看護師さん達は、よく声をかけてくれる。院内学級にも行く。でも、孤独なのだ。海音ちゃんはすごい。孤独感や辛い治療の中でも家族を思いやっていた。親が病院に付き添うため、兄は一人ですごさなければならない。親も仕事を休まなければならない。海音ちゃんは、申し訳ないって思っていた。けれど私は「私も頑張っているんだから、みんなも我慢してよ。」と思ってしまう。海音ちゃんは優しくて、強い。今の私はこんな風に思えないし、こんなに強くない。でも、自分がしんどいときこそ、周りの人を思いやれる優しくて強い私に変わりたい。
入院中、友達は何をしているのかなと思う時がある。会いたいなとも思う。心は学校に行きたいけど、入院すると体は楽だ。その度にやっぱり病気なのだと感じる。治療や注射が痛くても、採血を何度失敗されても、私は泣かないし、文句も言わない。友達と歩いて登下校や校外学習に行くことも、自由に遊び回ることも、運動も、みんなが当たり前に経験することが私にはできない。「病気を乗り越えられるから選ばれたんだよ。」と私も言われた。でも、選ばないで下さいと私も思った。悪いことをしていないのになぜ私がと何度思ったことか。薬の副作用でむくんだ私の姿をからかわれてどんなに悲しかったか。たくさんの言葉を、真っ黒な気持ちを、私も何度も飲み込んできた。海音ちゃんのように諦めることを静かに受け入れてきた。海音ちゃんが見つけたオーバーテーブルの裏にあった入院した人達の本当の気持ち。涙が出た。一人じゃないとやっと思えた。迷惑をかけたくなくて飲み込んできた本当の気持ち。病気じゃない人には分からないとどこかで思って言えなかった本当の気持ち。同じだった。みんなも病気と闘っていると感じたら、安心して、少し前向きになれた。私らしく生きよう。
海音ちゃんが言うように、病気があると将来の夢を見付けるのは難しいのかもしれない。でも、私は今の自分にできる勉強や人に優しくすることを一生懸命しよう。もし病気で悩む子に会ったら話し相手になりたい。そしていつか、病気に向き合いながら精一杯生きている人がいることを世界中に広めたい。当たり前のことができる幸せを、生きる素晴らしさを伝えていけたらうれしい。みんなが笑顔ですごせる未来をつくる力になりたい。
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●読んだ本「二平方メートルの世界で」(小学館)
前田海音・文 はたこうしろう・絵
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