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私は食べるのが大好きだ。美味しいと感じるか、不味いと感じるか。それは、人の五感と環境で決まると思っていた。だから、「言葉で食べている」と書かれていても、最初は意味が分からなかった。しかし、使う言葉ひとつで、料理は美味しくも不味くもなるということ。そして、美味しいとか不味いとかいう感覚も言葉があるからこそ表現できるのであり、言葉がなかったら感じることも伝えることもできないのだ。私が生まれたのは、言葉があって当然の世界だった。だから、言葉の存在について考えたこともなく、空気を吸うように使ってきた。しかし、言葉がなかったら今の私達はいなかったのだと、言葉の存在の大きさに気付かされた。
言葉には含みがあるということも興味深かった。YESかNOかはっきりさせるのではなく、あいまいに言ってみたり、その言葉の奥深くには、気持ちがこめられていたり。これは、日本の文化・日本人の気質から生まれたものだと思った。私は幼稚園までインターナショナルスクールで過ごしたのでよく分かる。小学校に入学して一番苦労したのは、そこかも知れない。自分にはそんなつもりはなくても、はっきりと発言する私はきついと思われていた様だし、友達のはっきりしない言葉をどのように受け取ればいいのか、理解に苦しんだこともある。私はまだ子供だから、大きなトラブルにはなっていないが、察することができるかどうかで、人間関係は大きく変わるに違いないと思った。
また、使い方ひとつで、言葉は凶器にもなる怖さも感じた。同じ言葉でも、状況や相手が変われば言葉の持つ意味も変わる。たとえ悪意がなくても、知らないうちに相手を傷付けている可能性もあるのだ。自分が発する言葉には、責任を持たなければならないのだと強く感じた。だからこそ、もっとたくさんの経験をし、もっとたくさんの人と出会い、もっとたくさんの言葉を身に付けたいと思った。
私は今でも、母に読み聞かせをしてもらうことがある。すると、母の読み方ひとつで物語の世界が変わることがあり、驚かされる。また自分で読んでいても、回数を重ねるごとに物語が変わって感じられることもあり、それがまた楽しい。私の世界が広がったからこそ、新しい物語が生まれたに違いない。
コロナ禍で多くの制限がある今だからこそ、読書で、地球の反対側にいる人とも、千年以上前の人ともつながってみたい。まずは真(ま)っ新(さら)な自分の解釈で楽しんでみたいと思う。同じ本を読んで、友達と意見交換するのも楽しそうだ。言葉を知らなければ、自分の思いは伝えられないし、相手の思いを知ることもできない。本当に、言葉あってこそなのだ。
言葉は、人生をより豊かにすることが分かり、もっと言葉を知りたいと思った。もっと言葉を楽しみたいと思った。せっかく日本に生まれてきたのだから、日本人としての誇りを持ち、まずは日本語を上達させたいと思う。
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●読んだ本「15歳の日本語上達法」(講談社)
金田一秀穂・著
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