障がいの有無、国籍などの立場を越えて、誰もが楽しめ、想像の世界を広げられる書籍や絵本。視覚障がいの児童、生徒が通う岩手県立盛岡視覚支援学校は、昨年の第63回青少年読書感想文全国コンクールで岩手県の入選者を輩出。民部田誠校長にお話を伺った。
民部田誠校長
――学校での読書の取り組みについて教えてください。
本校は幼稚部から高等部まであり、小学部では曜日を決めて朝読書に取り組み、中学部でも定期的に読書の時間を確保しています。読みたい本はボランティアの方に点字にしていただいたり、拡大読書機を使ったりして読み進めます。少人数学習が多く、外での経験も制限されがちな児童、生徒にとって、人間関係を疑似体験し、異なる考え方に触れられる読書は大きな楽しみです。
――読書感想文の指導は。
毎年の青少年読書感想文全国コンクールは良い機会ですので、各学年の課題図書の紹介文を先生が読み上げ、子ども自身に関心がある本を選んで読んでもらいます。夏休みの課題として感想文に取り組み、休み明けに先生と話し合いながら仕上げていきます。
――昨年は岩手県の入選作もありました。
同校で希望のあった本などを点字にする
点訳ボランティア団体「ステップ」の活動
見えづらい児童、生徒でも、それ以外の面では一般の小・中学生と同じ。決して特別な指導を行っているわけではありません。読書からスポーツまで自分らしい興味・関心を伸ばしている中で、本人の努力が評価されたのをうれしく思います。
拡大読書機を使った読書
――読書感想文は、子どもたちの成長にどんな影響がありますか。
集中力、読解力、語彙力の向上はもちろん、普段の生活では得られない情報や知識を身につけられ、新しい目標にもつながるでしょう。また障がいの有無、国籍の違いを越えた多様な視点を持つことができます。立場の異なる人が一緒にいる社会になっている今、相互理解の一助になるのではないでしょうか。
――この夏、読書感想文に取り組む皆さんに向けて。
時間がある夏休み、課題図書の紹介文を読み比べて、読みたいと思う本を手にとってみてください。いつもは読まないジャンルに挑戦すると、新しい世界が広がります。