第63回青少年読書感想文全国コンクール開催を記念し、7月2日(日)に紀伊國屋書店 熊本はません店(熊本市)で、絵本作家はたこうしろうさんによる児童書の読み聞かせと読書感想文についてのトークショーを開催した。
イベントは、はたさんが手掛けた児童書の読み聞かせからスタートした。参加した小学生と保護者らは、はたさんが読む作品の世界に引き込まれるように、真剣に聞き入った。続いて、読書感想文の書き方についてのトークショーを実施。はたさんは、読書感想文は作品への自分なりの具体的な思いを書くことが大切だと語った。
「本を読んで面白いと感じたら、どんな風に面白いのかをじっくり考えてみてください」とアドバイス。「面白いと感じた理由こそが、自分らしいオリジナルの意見なのです」。面白いと感じた理由を家族や友達に話して、他の人の意見を聞くことも重要だという。
はたさんは、自分らしさの例として有名な芸術家の作品を紹介。「人と違う考えを持つこと、そしてそれを自分らしく表現することは素晴らしいことです」と聞いて、子供たちは目を輝かせていた。
さらに、はたさんは自分で撮影した海の生き物の映像を紹介。「興味を持ったら実際に体験してみましょう。きっと、新しい発見があります」と話した。
参加した子供たちは最後まで集中していて、「面白い話を聞くことができた。読書感想文も楽しんで書きたい」「本を読むのが好き。読んだことを自分でも体験して、感想文にしてみたい」との意見が多く聞かれた。過去に書いた感想文が入賞した経験があるという子供もいて、「今度は自分らしい言葉で表現して、皆が読んで面白いと思う感想文を目指したい」と、感想文を書く意欲がさらに高まった様子だった。
絵本作家、イラストレーター。兵庫県出身、東京都在住。前年度(第62回)青少年読書感想文全国コンクールのポスターのイラストを手掛ける。自身の作品も過去に課題図書に選ばれている。
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イベントの会場となった紀伊國屋書店 熊本はません店の林亮介店長に話を聞いた。
「青少年読書感想文全国コンクールは、僕が子供の頃から親しんだ歴史あるコンクールです。本屋としては、毎年課題図書に注目しています。テーマが多彩で、必ず一冊は『この本なんだ!?』という意外性のある書籍が選ばれているのが面白いですね」
紀伊國屋書店 熊本はません店は、昨年4月に発生した熊本地震で甚大な被害を受けた。林店長や書店員たちは、約1年かけて店内の清掃から商品の準備などを行い、今年4月20日にリニューアルオープンを果たした。
「地震の被害でほとんどの本がだめになってしまいましたが、出版社様、取次会社様にご支援をいただき、再開することができました。再開に向けて私たちが目指したのは、〝創造的復興〟です。お客様にとっていい本屋になるためにたくさんの工夫を施しました」
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第63回青少年読書感想文全国コンクール課題図書出版社の会は、昨年の熊本地震で被害を受けた熊本県益城町の公立の小中学校に課題図書の寄贈を行っています。